夏の終わり、家族で那須高原に1泊だけのキャンプに行ってきました。今日はその「装備最小・1泊だけ・目的は焚き火と肉だけ」というミニマム旅程の記録と、「1人法人の経営者が短時間で頭をリセットする方法」について書いてみたいと思います。

那須高原は東京から東北道で2時間半ほど。日帰りでも行ける距離ですが、1泊するだけで体感の旅感が一気に変わる場所です。テントを張って、焚き火を囲んで、子供を寝かせて、夫婦で1杯。これだけで、翌週の頭の働き方が違ってきます。

1人法人の経営者って、まとまった休みが取りにくい立場です。でも逆に「短い時間で深くリセットする方法」を持っていれば、それで充分まわります。今回はその実例として、1泊キャンプの中身を全部書いておきます。

那須までのドライブ、東北道で2時間半

朝に東京を出発して、東北道を走る。那須インターまで2時間半くらいです。

夏の関東は、北上していくと空が一段ずつ広くなる。栃木に入った頃から、高速の両側に田んぼが広がって、空の面積が増えてきます。

車のラジオから流れる音楽、後部座席で子供が眠る音、エアコンの低い唸り。これだけで、すでに旅は始まっている感じ。「目的地に着くまでが旅じゃなくて、車に乗った瞬間から旅」とよく言いますが、本当にその通りです。

途中、サービスエリアでソフトクリームを食べる。観光地の名前が書かれたソフトクリームを買うのが、家族のお決まりになっています。今回は那須高原のジャージー牛乳味。子供は2分で食べ終えて、私の分も狙ってきます。これも毎回の儀式。

キャンプ前に立ち寄った、電車テーマのご飯どころ

キャンプ場に向かう前にお昼ごはん。事前に調べておいた、電車をテーマにした古民家風の食事処に立ち寄りました。

店内には、テーブルの脇を走る金属レールが組まれていて、ミニ電車のお盆で料理が運ばれてくる仕掛け。子供がもう、これにくぎ付けです。料理が来るたびにレールに張り付いて、行ったり来たりする電車を眺めて30分。

店内のレールを覗き込む子供
店内に張り巡らされた金属レール。子供がレール越しに電車を待つ姿勢で固まる。
ミニ電車を指さす子供と母
「あれ来た!」と指さす瞬間。母も一緒にレールを覗き込む。

お昼ごはんが運ばれてきたら、こちらもまた電車。D-51 を模した黒い容器に、ご飯とおかずが詰まっています。蓋を開ける所作だけで子供のテンションが一段上がる、計算された演出です。

D-51を模したお弁当容器でご飯を食べる子供
D-51の形のお弁当容器。料理そのものより、容器に夢中になる時間。

親としては、この感覚をもう少し鍛えたい。子供にとって面白い場所と、大人にとって面白い場所は、明らかに違います。家族旅行は、その両方を成立させるバランスゲームです。

わざわざキャンプに行くのに、子供のハイライトは「お昼の電車レストラン」。でも、それでいいんですよね。「自然の中で自然に触れさせる」というのは親の理想で、必ずしも子供のニーズと一致しない。これは仕事でも同じで、「自分が見せたいもの」と「相手が欲しいもの」のズレを認める柔軟性が、満足度の差を作ります。

テント設営、文脈が変わると関係性も変わる

キャンプ場に着いたら、まずテント設営。

私は本格的なキャンパーじゃないので、ワンタッチで広がる簡単なやつを使います。それでも、地面に杭を打って、ロープを張って、と手を動かしていると、いつの間にか30分が過ぎている。

子供がチョロチョロ周りで邪魔をするのも、ここでは「楽しい邪魔」になります。家にいたら「ちょっと向こうで遊んでて」と言うところが、ここでは「一緒に杭を打ってみる?」になる。同じ親子なのに、文脈が変わるだけで、関係の質が変わるんですよね。

これは経営でも同じだなと思います。同じメンバーでも、いつものオフィスで会議するのと、合宿で一緒にご飯を作るのとでは、出てくる会話の質がぜんぜん違う。「文脈の設計」は、関係性のクオリティに直結します。

テントが立ったら、椅子を出してビールを開ける。まだ夕方には早い時間ですが、キャンプ場では何時に飲んでもよい、という暗黙のルールがあるんです(私が決めました)。

焚き火と肉と酒、頭が空っぽになる時間の正体

夕方になって気温が下がってきたら、焚き火台に薪をくべます。

着火剤を使って、火がつくまで5分。最初はチロチロと小さい火だったのが、5分後にはちゃんと炎が立ち上がる。この瞬間の達成感は、毎回新鮮です。

肉と野菜を焼く。スーパーで買った普通の肉、適当に切った野菜、塩胡椒だけ。なのに、外で食べると全部美味しい。「外メシは美味しい」という現象は、味覚だけじゃなく、空気と火と音と空の総合体験で起きている気がします。

酒を飲みながら、火を見る。ただそれだけの時間が、たぶん私にとって一番頭が空っぽになる時間です。

焚き火は何時間でも見ていられる。「火を見る」という行為に、人間の本能の何かが反応しているんだと思います。狩猟時代から、夜の火は安全と仲間を意味していた。DNAレベルで、火に向かうとリラックスするのかもしれません。

この「頭が空っぽになる時間」が、経営判断には不可欠だと最近強く感じています。日中に処理してきた情報が背景でゆっくり整理されて、翌日になると勝手に答えが出ている、みたいな現象が起きるんですよね。

焚き火台の上のグリル、火と肉
焚き火台の上で肉を焼く。火と網と肉が並ぶ瞬間が、一番テンションが上がる。

夜のリズム、子供は5分で寝る

夜になって、子供が眠そうになってきたらテントに戻して寝かしつけ。寝袋に入って、子供は5分で寝ました。外で一日中動き回ると、寝るのが早い。これは家族キャンプの最大のメリットかもしれません。

子供が寝たら、夫婦で焚き火の前に戻って、もう一杯。火を見ながら、ぽつぽつと話す。普段、家ではなかなかできない話のテンポです。

経営の話、家族の話、来年の予定、ちょっとした愚痴。会議室でやれば30分かかる話が、焚き火の前だと自然に流れていく。「対話の質は、場所で決まる」って、こういう時に思います。

翌朝、コーヒーと撤収。1泊でも充分な理由

翌朝、テントの中で目が覚める。

朝の高原の空気は、夏でも涼しい。テントから出ると、霧がうっすら立ち込めています。

湯を沸かして、コーヒーを淹れる。インスタントだけど、外で飲むと格別。子供と一緒にパンをかじる。これだけの朝食が、家で食べるより数倍美味しい。

テントをたたんで、椅子を畳んで、車に積み込む。1泊キャンプの良いところは、撤収が早いこと。1時間もあれば、すべて片付きます。

帰り道、サービスエリアでまたソフトクリーム。今度は那須地区の塩キャラメル味。

東京に戻る車の中で、子供は早々に寝てしまいました。

1泊でも、ちゃんと頭が整理される。焚き火と酒と肉の効能は、本当にあなどれません。「短時間で深くリセットする」という選択肢を持っているかどうかが、長距離走として走り続ける1人法人経営者にとっては、地味に大きな違いだと思っています。

さて、翌週の準備に取りかかりますか。

経営の壁打ち、30分から

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