11月、家族で朝霧高原に2泊のキャンプに行ってきました。今日はその旅の話と、「1人法人の経営者こそ、年に数回は焚き火の前で何もしない時間を持ったほうがいい」というテーマを、現地の写真を交えながら書いてみます。
朝霧高原は、富士山のふもとに広がる標高800mほどの牧草地帯。東京から車で2時間半。週末でもアクセスしやすい立地で、しかも富士山が真正面にどんと見える場所です。
今回の狙いは「焚き火と牡蠣と富士山だけ」。装備も食材もシンプルに絞って、あとは現地でぼーっと過ごすだけ、という旅程にしました。子連れキャンプは何度かやってきましたが、今回は意識して「経営の頭をリセットする時間」として組んだ旅。これが、想像以上に効いたんですよね。
東京から2時間半、富士山が見えてくる道
朝に東京を出発して、東名から朝霧高原まで2時間半くらい。
御殿場あたりから富士山が見えてくると、後部座席の子供が「あ、見えた!」と叫びます。富士山が視界に入った瞬間、車内のテンションが一段上がる。これは何度行っても変わりません。
11月の道は、夏の混雑がない。サービスエリアも空いていて、コーヒーがすぐ買えます。朝霧高原に近づくにつれて空気が変わり、湿度が下がって輪郭がクリアになっていく感覚。富士山も近くなるほど存在感が増してきます。
ちなみに、朝霧高原の人気キャンプ場は週末の予約が取りづらい場所もありますが、平日に有給を絡めて行くと選択肢が一気に広がります。1人法人経営者の特権を活かすなら、ここは平日一択ですね。
焚き火の前で、何もしない30分
夕方、テントを立てて焚き火台に薪をくべる。
11月の朝霧は、夜になると一気に冷えます。だから焚き火のありがたみが、夏とは別物。火を囲んでジャケットの襟を立てて、手をかざす。夏の焚き火は「演出」、冬の焚き火は「必需」。この違いが、心理的な満足度に大きく効きます。
火の前で30分、ただ無言で過ごしました。スマホを見ない、話さない、ただ火を見る。これが、意外といいんです。
普段、東京で「無音の時間」を作るのは至難の業です。電車の音、車のクラクション、エアコン、PCのファン。完全に無音になる瞬間がない。キャンプ場の夜は違います。聞こえるのは、薪が爆ぜる音、遠くの虫の声、たまに通る風の音だけ。
ここで気づいたのは、「無音の時間」って、実は経営判断の質に直結するということ。日常では情報処理に追われて、自分の中の「直感」や「違和感」が後回しになる。何もしない時間がないと、それらが言語化されないまま消えていきます。
30分火を見ているだけで、ここ数ヶ月モヤモヤしていた案件の判断が、なぜか一気にクリアになりました。「これ、たぶん受けないほうがいいな」という結論が、勝手に降ってくる感覚。これは、デスクの前で何時間考えても出てこなかったやつです。
街では絶対に見えない、朝霧の星空
焚き火の明かりが落ち着いてきた頃、空を見上げました。
東京では絶対に見えないような星が、朝霧の空には散っている。空気が澄んでいて街の光がないから、星の数が桁違いに多い。
「あれが何座」とか、私はあまり知りません。ただ、ぼんやり見ているだけで、不思議と落ち着く。
子供が寝袋にくるまって、空を指さしながら何かを話している。何を言っているのか聞き取れないけれど、それでよかった。家族との時間って、こういう「特に何もしてないんだけど一緒にいる」みたいな時間が、あとから効いてくる気がします。
赤い橋越しの富士山と、「ちょっとだけ見える」の威力
翌朝、朝霧アリーナの赤い橋を渡って富士山を見にいきました。
富士山には雲がかかっていたけれど、頂上だけがちらっと見えて、それがかえって良かった。「全部見える」より「ちょっとだけ見える」ほうが、想像力をかきたてる。
これって、ビジネスのプレゼンや提案でも同じだなと思いました。すべてを見せきってしまうより、「核心の一部だけ見せて、続きを想像させる」ほうが、相手の興味を引きつけられる。情報過多の時代だからこそ、「ちょっとだけ見える」の威力は強くなっている気がします。
赤い橋自体も、橋として写真映えするように設計されています。誰かが「ここに橋があったら良い写真が撮れる」と判断して設計した、計算された景色なんですよね。
観光地の景色というのは、自然と人工の合わせ技で出来ている。この場合、富士山は自然、橋は人工。両方が揃って初めて「絵になる景色」になる。これも、コンテンツ設計の話と地続きだなと感じました。
牡蠣の網焼き、シンプルが正義
途中で立ち寄った直売所で牡蠣を買って、キャンプ場で焼きました。
金属の容器に山盛り。レモン、醤油、ポン酢、いろんな調味料を用意したけれど、結局、塩と少しの胡椒がいちばん美味い。
網に乗せて、汁が垂れて、シューっと音がする瞬間が、もう美味しい。シェルが少し開いてきたら食べごろ。火傷しないように殻を開いて、ジューシーな身を取り出す。
シンプルな食材を、シンプルに焼いて食べる。それだけで満足できるのが、キャンプのいいところです。家に帰ってからレシピをこね回しても、たぶんこの味は出せません。「焚き火の前で、寒い夜に、屋外で食べる」というシチュエーション全体が、味の一部だから。
撤収の朝、コーヒーと「同じものでも見る時間で違う」
翌朝、焚き火の灰を片付けてテントをたたむ。
湯を沸かしてコーヒーを淹れて、椅子に座って富士山を見る。これが朝の儀式。今日は朝から雲がなくて、富士山がはっきり見えました。
昨日の夜、雲の隙間から見えた富士山と、今朝のクリアな富士山。同じ山なのに、表情がぜんぜん違う。「同じものでも、見る時間で違う」って、当たり前だけど大事な事実です。
経営の文脈に置き換えると、これは「同じデータでも、見るタイミングで読み方が変わる」という話に近い。朝のクリアな頭で見る数字と、深夜の疲れた頭で見る数字は、同じ数字でも違う意味に見えてしまう。だから判断は「いつ見たか」をセットで記録しておくべき、というのが私の運用ルールです。
で、結局なにが良かったのか
撤収して、車で東京に帰る道で、頭がきれいに空っぽになっていました。
焚き火、富士山、牡蠣、星空。シンプルな要素だけで構成された旅は、あとで思い出した時の解像度が高い。記憶として「効率がいい」んですよね。
1人法人の経営者は、自分が動かないと事業が止まるから、つい「常に何かを処理している」状態になりがちです。でも、その状態だと中長期の判断が雑になる。年に2〜3回、意識的に「何もしない時間」を作るのが、結果的にいちばん効率がいいと、最近は本気で思っています。
次は来年2月、北海道のキャンプ場の近くの宿に泊まる予定。雪の中で焚き火をしたら、また違う発見があるはずです。
さて、月曜から仕事頑張りますか。
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